中島さん 天国でも無茶やってんのでしょう?
この肩の力の抜けた本は、中島らも本人が書くのではないため、一層中島らもの普段の生活と酒が、内容にはドッキリするような話もあるのですが、気楽に読むことができます。
とはいえ、私はこの本を貧乏な酔っ払いのガイドブックとして読みました。ということで、紹介してある店の名前を挙げておきます。
大阪新世界 やまとや一号店◎ 丸徳○
横浜黄金町 がま親分△
大阪京橋 岡村酒店直売所◎
名古屋大須 木の実 ○
神戸新開地 あかひげ◎
東京南千住北千住 大橋○ 天七△
東京萱場町赤羽 ニューかやば○ いこい◎
宝塚 らも家 (西天満 松浦◎)
博多 百円酒蔵大名店◎ 角屋◎
阿倍野 明治屋◎ どん海○
岡山 成田や天神町店○
大阪池田 鳥栄○
十条 斉藤酒場◎ 大安○
神戸三宮 丸吉◎
広島福山 新光食堂○
金沢医王山 かわべ△
敢えて私の行きたい度の採点を(なお今のところ半分近くの店には行っております)
なお、この本の取材は2001年から2003年の間です
一人一人の客が自分のためだけの酒を飲んでいる、っていいよね
“「せんべろ」とは千円でべろべろになるほど飲める店”。ひゃぁー、このベクトルは俺の欲望にドンピシャに重なるぜ!
これ読んで、酒のつまみを指す「アテ」って関西言葉にちょっとはまっちゃいました。東京じゃ聞き慣れない言葉で新鮮だ(「アテ、ほんまによう言わんわ」)。「せんべろ探偵」は一応、大阪を拠点としつつ、東京、名古屋、博多、岡山、福山、金沢って遠征するんだけど、特に大阪、東京の文化の違いが際立って、面白かった。
大阪の立ち飲みで一番安いアテの定番は「梅干し50円」らしいけど、東京じゃそんなの見たことなくて羨ましい。逆に、「関西にはあまり置いていない、サッポロのラガー(赤星!)があるのもうれしい」なんてのを読むとこっちもうれしい(こないだ神田まつやに行ったら赤星がスーパードライになっててショックだったけど)。「関東ではウーロン割りはポピュラーだが、関西はそうでもなかった」ってのも意外だったし、うどん文化の大阪には蕎麦屋酒の風習がないってのは言われてみればそうかって感じ。大阪の立ち飲みはぎゅうぎゅう詰めの「ダークスタイル(!)」ってのにも大笑いした。「大阪の常連客は見知らぬ客が来ると「オマエ、誰や」光線を送り、酔いがまわると「ジブン、アレやな」とかワケのわからんことを云いつつ寄ってくる」ってのは少し羨ましいけど、中島らもが「斎藤酒場」を指して言った「店内はとても静かで一人一人の客が自分のためだけの酒を飲んでいる」って雰囲気がやっぱ好きだな。それにしても、大阪・京橋の立ち飲み屋の、サービスデー大びん290円、日本酒200円、お盆特別サービス!IWハーパー水割り一杯110円の価格破壊ぶりは垂涎の的である。
らもの元マネジャー大村アトムのフレーズ、「こんな店が近所にあったら、毎日来ますよね」。そんな店がぎょうさん紹介されていて、すぐにでも「せんべろ」したい気分にさせられる本だ。
複雑・・・
発売当時から、ファンとしては複雑な思いにかられた一冊。「呑んで大丈夫なの?らもさん・・・」って。 しかし、これを否定しちゃうと、らもさんの周りをとりまく環境そのものを否定することになってしまう。 ある意味リハビリ的な仕事だったのかなあ・・・推測にすぎませんが。 座談会とエッセイで構成されていますが、らもさんは主役というよりスペシャルゲスト的な扱いに見受けられます。 中島らもはやっぱり、エンタテイメント小説が本領発揮で一番面白いと思うので、星3つ。
注意しましょう
「せんべろ」とは千円でべろべろになるまで飲むこと。でもって、正統派はやはり立ち飲みが基本だそうです。 この本を呼んでいると、どの店にもぜひ一度いってみたくなります。 なんといっても、どの店もお酒はもちろんのこと、つまみがおいしそう! こんな企画は中島らもさん以外には、ありえないでしょう。 それにしても惜しい人を亡くしたものです。 ついつい読みながら、一杯やりたくなってしまいます。 読みながらの飲みすぎには、注意しましょう。
文藝春秋
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