ちゃんとした落語家がちゃんと落語を英語にする
これは、以前「枝雀のアクション英語高座」という題名で出版されていたものを文庫化したものである。でも、題名はこっちの方が正しい。 落語は会話劇であるのでその会話を英語に訳すのは会話を英語にするのと全く一緒である。しかも、落語であるからには笑ってもらわないといけない。笑うためには、その言葉の背景までわかってもらっていないと難しい。そこを理解してもらうために、ざまざまな工夫をしながら英語落語を作っているさまが細かく紹介されている部分がとても興味深い。 愛宕山を「Mt. Atago」とすると、アルプスかどこかの山のようなイメージがあり、登山の準備もなく女性も連れて瓦を投げに登るというストーリーそのものが受け入れらなかったというエピソードには、ヨーロッパの竹では弾力がなくていくらぶら下がって引っ張ってもがけの上まではねとばされないというオチまでついていておもしろい。これは、コミュニケーションそのものが語られた英会話関連の読み物として秀逸。ブロークン英語もここまで準備をすれば笑いもとれるというとてもよい見本。
祥伝社
枝雀のアクション英語高座―英語落語を楽しんで英会話が身につく本 (ノン・ブック) 世界を笑わそ!―RAKUGO IN ENGLISH 日本わらい話―Rakugo!Comic Stories from Old Japan 【講談社英語文庫】 英語落語 RAKUGO IN ENGLISH 桂枝雀のらくご案内―枝雀と61人の仲間 (ちくま文庫)
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